今日も学問のすすめシリーズです。
4編「学者の職分を諭す」をみてみたいと思います!
学問のすゝめ 四編
「然らば即ち我国文明の有様、今日をもって昨日に比すれば或いは進歩せしに似たることもあるも、その結局に至っては未だ一点の疑いあるを免れず。苟(いやしく)もこの国に生れて日本人の名のある者は、これに寒心せざるを得んや。」
とすると、わが日本の文明のようすは、今日の状態を昨日に比べれば、まあ進歩したと言えるかもしれないが、結局のところ、まだ疑いが完全になくなったわけではない。日本に生まれて日本人の名を持つものなら誰でも、この状況を心配しないではいられないだろう。
出典元 齋藤孝『現代語訳 学問のすすめ』
この編では、日本が独立を保つためには何をするべきか、ということが掲げられています。
当時のイギリスと比較し、日本は果たして独立を守れるのか?ということを、日本人に生まれたなら誰でも心配になるだろう、ということを言っています。
それほど、同時の西洋列強の文明と、日本の文明には進歩の差があったということです。
ただし、当時の日本人の時代に対する意識の高さは、非常に高かったようです。
そのころの日本人の識字率(文字の読み書きができること)は70%です。当時の世界一の大国イギリスが30%であることを考えると、ずばぬけた数値です。
福澤諭吉の『学問のすゝめ』が、日本人の人口の1割にあたる300万人以上の人々に読まれたのも、それだけ読書人口も多かったということです。当時の日本人は現在の日本人以上に世界情勢を理解し、物事を深く考えることのできる教養人だったのです。
出典元 佐藤芳直『日本はこうして世界から信頼される国となった』
先日、終戦記念の日を前に、NHKの世論調査が発表されていました。
18歳・19歳の若者に、終戦の日はいつか尋ねたところ、14%が知らないと答えたそうです。
どんどん、歴史認識は薄れていくのかなぁ、と悲観的にもなりました。
歴史観がきちんとなければ、外交について正しい判断ができないと思います。
根深い問題があるなぁと実感したところです。
「方今我国の形勢を察し、その外国に及ばざるものを挙ぐれば、曰く学術、曰く商売、曰く法律、これなり。世の文明は専らこの三者に関し、三者挙らざれば国の独立を得ざること識者を俟たずして明らかなり。」
いま、わが国の状態を観察してみて、外国におよばないところを挙げてみると、「学術」「経済」「法律」の三つである。世の中の文明は、ただこの三つに関係しており、この三つがちゃんとしていないと国の独立ができないということは、識者の話を聞くまでもなく明らかである。
出典元 齋藤孝『現代語訳 学問のすすめ』
国の文明はこの3つから成り立ち、これがしっかりしていないと独立できないんだな。
おとなりさんは、国民情緒法とかがあるから、本当の意味で独立できていないのか。
家庭内で情緒法適用できたら、奥様圧勝やん。
日本でも、学術に関して気になるニュースが以前ありました。
Nature Indexに収録されている高品質な科学論文に占める日本からの論文の割合は、2012年から2016年にかけて6%下落しました。中国の急速な成長の影響により、米国などの科学先進国が占める割合は相対的に低下していますが、日本からの論文発表は、絶対数も減少しています。Nature Indexに収録されている高品質の自然科学系学術ジャーナルに掲載された日本の著者による論文数は、過去5年間で8.3%減少しています。
出典元サイト「2017.3.27 SankeiBiz(サンケイビズ)」
論文数の減少とは、日本の技術や学術の低迷を表していますよね。
これは、予算の関係で?ということなのかもしれませんが、危機的状況です。
・・・話が脱線してしまいましたが、この編では政府では、日本を変革するには力不足であるということが書いてあります。
政府寄りの人間が見本をみせてもダメ。
(ここでは、洋学を志す慶応義塾の同志たちが、先頭にたって見本を見せるべき、とあります)
結局は、「個人」ひとりひとりの意識が大切です。
それって現代でも一緒ですよね。
でも、こういう問題って、知れば知るほど面白くなってくるんだな、と思いました。
学問のすすめって、ホント、わたしみたいな一般人が読むべき本だったんだな!
ってカンジです。
今日は結構まじめな感じになりましたが、引き続き学問のすすめを勉強していきたいです。
つづきを読む:福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読んでみよう!④
前の記事を読む:福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読んでみよう!②