【民法改正】総則(人・物)

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人(3条~37条)

①権利能力

権利能力・・・私法上の権利義務の主体となれる地位・資格

 

A自然人

私権の享有は出生に始まる。(3条)

権利能力の終期は死亡のときに限られる。

 

B法人

法人も権利能力を有する。

第34条 法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

 

C胎児

原則 まだ生まれていないので権利能力を有しない。

例外 以下については、胎児はすでに生まれたものとみなす。

①不法行為に基づく損害賠償請求権

②相続

③遺贈 

→「既に生まれたものとみなす」について停止条件説と解除条件説がある。

判例は停止条件説に立ち、胎児を代理してされた和解契約の効力を否定している。

 

D外国人

法令・条約の規定により禁止される場合を除き、権利能力を有する。(3条2項)

 

 

②意思能力

意思能力・・・自己の法律行為の結果を判断することのできる精神能力

【改正】

第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする

 

 

③行為能力

行為能力・・・単独で完全に法律行為を行うことのできる能力

制限行為能力者・・・行為能力を制限された者。

①未成年者

②成年被後見人

③被保佐人

④(一定の行為について補助人の同意を要する)被補助人

 

制限行為能力者が単独でした法律行為の効果・・・取り消すことができる

制限行為能力者の身分行為・・・行為能力の制度は適用されない。

 

A未成年(20歳未満)

・未成年者の法律行為は法定代理人の同意が必要

 (同意は未成年本人・相手方のどちらに対してしてもよい)

・法定代理人の同意を要しない行為(5条1項ただし書)

 注意 債務の弁済を受けること→×未成年単独

    債務の免除を受けること→○未成年単独

・法定代理人が許可した未成年者の営業(6条)

第6条 一種または数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

→法定代理人の許可は、営業の種類を特定してする。

→1個の営業をさらに制限して許可することはできない。

→黙示の許可でもよい

・法定代理人は未成年者を代理することができる。(824条・859条)

・未成年者が婚姻した場合は、成年に達したものとみなされる、(753条)

 

B成年被後見人

・事理弁識能力を欠く常況にある者(意思能力がない者)+後見開始の審判を受ける。

・成年被後見人の法律行為は取り消すことができる。(9条)

・日用品の購入などは取り消すことはできない。(9条ただし書)

成年被後見人が成年後見人の同意を得て法律行為をした場合でも、その行為を取り消すことができる。

 

C被保佐人

・事理弁識能力が著しく不十分な者+保佐開始の審判を受ける

・被保佐人が13条1項の行為をするには、保佐人の同意を要する。

・日用品の購入などは取り消すことはできない。(13条1項ただし書)

・家庭裁判所は、請求により、保佐人の同意を必要とする行為を追加することができる。(13条2項)

・被保佐人の利益を害するおそれがないにも関わらず、保佐人が同意をしないとき、家庭裁判所は被保佐人の請求に保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。(13条3項)→保佐・補助共通

・家庭裁判所は、特定の法律行為について、保佐人に代理権を与えることができる。本人以外の請求により代理権付与の審判をするには、本人の同意が必要。(876条の4 2項)

 ※保佐人は当然に代理権を有するわけではないことに注意

 

D被補助人

・事理弁識能力が不十分である者+補助開始の審判を受ける

・本人以外の者の請求による補助開始の審判・・・本人の同意が必要

補助開始の審判とともに、同意権または代理権付与の審判をしなければならない。

 同意権のみ与えるか、代理権のみ与えるか、双方を与えるか3パターンあり

同意権付与の審判をした場合、補助人の同意を要する行為は民法13条1項に規定する行為の一部に限られる。

・本人以外の者の請求により代理権付与の審判をする場合・・・本人の同意が必要

 

E制限行為能力者の相手方の保護

【催告権】(20条)

・行為能力者となった者・法定代理人等への催告

→確答無しの場合追認したものとみなされる

・被保佐人・被補助人への催告

→確答無しの場合取り消したものとみなされる

・未成年・被成年後見人への催告

意思表示の受領能力がないため無効

 

【制限行為能力者の詐術】(21条)

行為能力者であると偽った、適法な同意を得たと信じさせた場合

→取消しできなくなる。

【詐術とは(判例)】

×単に制限行為能力者と黙秘しただけ 

○制限行為能力者であることを黙秘した+他の言動→相手方を誤信させた

×第三者による詐術

 

④住所

住所とは生活の本拠である。(22条)

 

 

⑤不在者の財産管理人

不在者・・・従来の住所・居所を去り、すぐそこに帰ってくる見込みのない者

 第25条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。

 

第26条 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求により、管理人を改任することができる

第28条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。

一 保存行為

二 代理の目的である物又は性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 

⑥失踪宣告

A普通失踪

【要件】

①不在者の生死が7年間明らかでない

②利害関係人の請求がある

【効果】

不在者の生存を証明できる最後の時から7年の期間が満了した時に、失踪の宣告を受けた者が、死亡したものとみなされる

 

B特別失踪

【要件】

①戦地に臨んだ、沈没した船舶の中にいた等死亡の原因となるべき危難に遭遇した者が、危難が去った後一年間生死不明である

②利害関係人の請求がある

【効果】

危難が去った時に、失踪の宣告を受けたが者が、死亡したものとみなされる

 

C失踪宣告を受けた(死亡したものとみなされる)ことによる具体的な効果

①相続が開始する。

②婚姻中の者が失踪宣告を受けた場合は、婚姻関係が当然に解消される。

③失踪宣告を受けた者が他所で生存している場合は、その者の権利能力は失われない。

 

D失踪宣告の取消し

【要件】

①失踪者が現に生存することの証明があった

②死亡したものとみなされた時期と異なる時期に死亡していることが証明された

③本人又は利害関係人の請求がある

【効果】

初めから失踪宣告がなかったのと同様の効果が生じる。

第32条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない

2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

・「善意でした行為の効力に影響を及ぼさない」とは

→その行為が売買などの契約である場合には、契約当時において、当事者の双方が善意でなければならない。(大判昭13.2.7)

→失踪宣告を受けた者の配偶者が再婚した後に、失踪宣告が取り消された場合、再婚当事者の双方が善意であれば、前婚は復活しない。

 

 

 

⑦同時死亡の推定

第32条の2 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

→複数の者が同時期に死亡した場合、どちらが先に死亡したかにより、相続関係に大きな影響を及ぼす。

 

 

物(85条~89条)

①不動産と動産の定義

第86条 土地及びその定着物は、不動産とする。

2 不動産以外の物は、すべて動産とする。

3【改正】 無記名債権は、動産とみなす。

 

 ②主物・従物とは

第87条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。

2 従物は、主物の処分に従う。

・従物の例・・・ペンとキャップ、刀と鞘など

・従物とは、独立の物でありながら、客観的には主物に従属してその効用を高めるものをいう。

【従物となるための要件】

①主物の常用に供せられていること

②特定の主物に附属すると認められる程度の場所的関係にあること

③主物から独立した物であること

主物と同一の所有者に属すること

 

 

③果実の帰属

第89条 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。

2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。