①物権
物権とは物に対する直接的・排他的な支配権である。
②一物一権主義
A「一個の物の上には、一個の物権しか成立しない」
→物権は排他的な支配権だから
B「一個の物権の客体は、一個の独立した物でなければならない」
→1個の物の一部を目的として、一個の物権が成立することはない。
→複数の物の上に、一個の物権は成立しない。
※ただし例外あり
③物権法定主義
第175条
物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
④物権の効力
A物権の優先的効力
物権同士が競合する場合→先に対抗要件を備えた物権が優先する。(177条)
物権と債権が競合する場合→物権が債権に競合する。
(ただし対抗要件を備えた不動産の賃借権は物権として考える。)
B物権的請求権
物権の円満な実現が妨害され、またはそのおそれがある場合に、それを排除し、または予防することを請求する権利。
不法行為による損害賠償請求権と異なり、相手の故意過失は不要。
・物権的返還請求権
・物権的妨害排除請求権
・物権的妨害予防請求権
【改正】不動産賃借権の物権化が明文化された。
第605条の4
不動産の賃借人は、第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ該当各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求
物権的請求権の内容
①行為請求権説 ※判例の立場 (費用負担も相手方)
②受任請求権説
③行為請求権修正説
⑤物権変動総説
・物権変動=物権の得喪及び変更
(物権変動とは、物権が発生し、変更し、消滅すること)
・物権変動の効力の発生
(意思主義)
第176条
物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
・物権変動の効力発生時期
原則 売買等の契約がされた時に、所有権は買主に移転する。
例外 特約で移転時期を定めることができる。
・物権変動の公示方法
不動産・・・登記
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
動産・・・引渡し
第178条
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ第三者に対抗することができない。
・公示の原則→不動産・動産
公示がなければ、物権変動を第三者に対抗できないという原則
・公信の原則→動産のみ(即時取得)
公示を信頼して取引をした者は、公示が例え真実の権利関係に合致していなくても法律上保護されるという原則
⑥不動産の物権変動(準備中)
⑦動産の物権変動
第178条
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ第三者に対抗することができない。
・対象とならない動産
登記や登録が対抗要件となる自動車や船舶など
・対象となる物権(変動)の種類
所有権に限られる。所有権の譲渡・取消し・解除。
・引渡しの態様(182条~184条)
①現実の引渡し
②簡易の引渡し(譲受人が既に物を所持している)
③占有改定(外形からは変化なし)
④指図による占有移転
法人が動産の譲渡を行った場合、動産譲渡登記がなされると対抗要件が具備される。(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)
・178条の「第三者」の範囲
当事者及び包括承継人以外の者で、動産の引渡しの欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者。(大判大8.10.16)
譲渡された動産の賃借人→178条の第三者に該当する。(大判大4.4.27)
譲渡された動産の受寄者→178条の第三者に該当しない。(最判昭29.8.31)
⑧立木の物権変動
立木とは樹木のこと。
立木について物権変動が生じた場合の公示方法は以下2つ。
A立木法による登記
B明認方法(慣習上認められた公示方法)
・明認方法は、土地と独立して立木のみ譲渡がされた場合の公示方法である。
・明認方法は第三者が利害関係を有するに至った時まで存続していることを要する。
・土地とともに立木が譲渡された場合の対抗要件は、登記である。
・立木を留保して土地だけを売り渡す場合、立木について明認方法をしておかないと、立木の所有権を第三者に対抗することができない。