不動産対抗要件と相続③(民法177条)

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こんにちは!

なおたろうです。

 

今日は前回に引き続き、民法177条と相続(相続放棄)について勉強したいと思います!

 

では、177条のおさらいです。

 第177条

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律に定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

不動産の権利に関しては、登記をしなければ第三者に対抗することができず、また、177条はあらゆる物権変動に及ぶと考えられています。

 

つまり、売買によって権利が移転したとしても、相続で権利を取得したとしても、登記をしなければ第三者に対抗することはできません。

 

では、相続人の中に相続を放棄する人がいた場合はどうなのでしょうか? 

今日は、相続放棄によって所有権が移転した場合を考えていきたいと思います^^

 

 

 

まず、相続放棄とは何でしょうか?

例えばAさんが亡くなり、相続人は妻のBさんと子のCさんだとします。

Aさんには貯金の他、土地や家などの不動産を持っていました。

しかし借金もあります。

 

貯金や不動産などが3000万円分ですが、借金は4000万円あります。

 

Aさんが亡くなり、相続が開始すると何もしない限り、相続人であるBさんCさんはこれらの相続財産を承継します。

家や土地を承継するのはいいですが、借金も当然に承継することになり、結果的にはマイナスの財産を相続することになるのです。

Cさんは、土地も家もいらないから、借金を背負いたくないと思います。

 

相続放棄とは、このような被相続人(Aさん)の財産を相続によりうけることを拒否する相続人(Cさん)の単独行為のことです。

 

(相続の放棄の方式)

民法第938条

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 

この場合、Cさんは家庭裁判所に「Aさんの相続を放棄します」と言いにいかなければなりません。

 

相続は、放棄する以外にも相続財産がプラスになった時だけ承認しようという「限定承認」もすることができますが、ここでは省略します。

 

 

相続放棄できる期間は法定されています。

 

(相続の承認又は放棄をすべき期間)

民法第915条

1項 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

 

つまり、CさんはAさんが亡くなったことを知った時から、3か月以内に相続放棄の手続きをしなければなりません。

 

ここで、Cさんが相続放棄の手続きをしたとします。

 

するとどうなるでしょうか?

(相続の放棄の効力)

民法第939条

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、はじめから相続人とならなかったものとみなす。

 

つまり、相続放棄をしたCさんは、はじめからAさんの相続人ではなかったとみなされるのです。

つまり、Aさんの相続人は初めから、Bさんただ一人だったということになります。

 

ここからが問題です。

 

Aはある土地を所有していたが死亡し、BとCが2分の1ずつ共同相続し、その登記がなされた。

その後、Cが相続放棄をしたが、それに基づく登記がなされない間に、DはCの持分につき差押えをし、その登記をした。

Bは登記なくして相続放棄により持分が増加したことをDに対抗できるか?

 

 

Cさんの相続放棄によって、Aさんの相続人は妻のBさんただ一人です。

(実は、Cさんは友人のDさんに50万の借金があり、返済時期が過ぎているのに返済できていません。)

友人のDさんは、Cさんのお父さんであるAさんが亡くなったことを知って、その相続財産に差押えをしようと考えました。

 

土地についてBさんとCさんが半分ずつ持分を持っていることが登記されていますが、Cさんが相続放棄をしたことによってこの土地の所有権はBさん一人のものになったことは、まだ登記されていませんでした。

なので、Dさんはその土地のCさんの持分を差押え、差押えの登記をしました。

 

 

しかし、妻のBさんは「息子のCは相続放棄しているから、この土地は全部わたしのものです」と主張します。

 

この場合どうなるのでしょうか? 

 

 結論・・・Bは相続放棄によりCの持分を取得し、自己の相続分が増加したことを登記なくして対抗することができる。(最判昭42.1.20)

 

つまり、この場合相続放棄によってBさんが単独で所有権を取得したことは、登記しなくてもDさんに対抗することができますよ、ということです。

 

相続放棄の効力は絶対的であり、たとえ登記がされていなくても、何人に対しても対抗することができるのです。

 

遺産分割による持分の変動は違います。

登記しなければ第三者に対抗することができません。(前回のお話です)

 

なぜ、判例は遺産分割と相続放棄と異なる結論をとったのでしょうか?

 

遺産分割は、被相続人が死亡した後は、いつでもすることができます。

相続放棄は、被相続人が死亡して、自分が相続人になったことを知ってから3か月以内と決められています。

 

遺産分割は、相続人間の内々の話しなので第三者は知りようがありません。

相続放棄は、家庭裁判所でもその有無を調査することができます。

 

つまり、友人のDさんについては、差押えの登記をする前に、Cさんが相続放棄をしていないか、家庭裁判所で調べてからでも、することができますよね?

ということが言えます。

相続放棄の第三者(Dさん)は、保護の必要性が低いのです。

 

 

 

・・・ということで、今日は相続放棄と登記の関係について勉強しました!

ほんと、色々考えられてるんだな~ってかんじです。

次回は、時効によって土地を取得した場合と登記の関係について勉強します^^

 

お付き合いいただき、ありがとうございました~!!