今日は会社法の中でも自分が最も苦手とする組織再編の中から、「合併」について勉強したいと思います。
1.組織再編とは?
まずは、組織再編のおおまかな意味を勉強してみます。
企業は、会社の成長やその時々の 社会、大衆の需要に応じて、新たな事業を展開したり、事業内容を変更したりします。あるいは、会社の業績によって規模を拡大したり、縮小したりします。ある業種に新規参入するために、その産業のノウハウを有する他の会社を買い取ることによって、新規参入し成長していく時間を省くという「時間をお金で買う」ために、他の会社と合併などを行う場合もあります。大手銀行の相次ぐ合併、あるいは不景気による工場の閉鎖など、その時々の必要に応じて、会社の組織というものは常に動いています。
そこで、このような現実の必要性に応じて、会社法では、組織再編行為として、組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転などの類型を定めています。株式取得による企業買収を行った後に、最終的に株主総会の承認を経て合併などの手続きを行うこともあります。
出典元「うかる!司法書士主要5科目で学ぶ」山村拓也/伊藤塾
テレビでよく、A銀行とB銀行が合併したニュースなどが取り上げられていますが、なんか漠然としたイメージしかわきませんでした。
「経営不振なんかな?」と思っていました。
合併する理由もそれぞれあるのでしょうが、合併をすることによって、既存のノウハウや従業員、取引先を得ることができるので、低コストで事業拡大ができる場合もあるそうです。
では、合併について詳しくみていきたいと思います。
2.合併の種類
合併とは、2つ以上の会社が「契約」によって一つの会社に合体することを言います。(会社法748条)
会社法上、会社の合併は「吸収合併」と「新設合併」に分けられます。
実務上、合併といえば吸収合併がほとんどです。
この二つはどのように違うのでしょうか?
吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後「存続する」会社に承継させるものをいいます。(会社法2条27号)
新設合併とは、2つ以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により「設立する」会社に承継させるものをいいます。(会社法2条28号)
例えば、A社とB社が「吸収合併」をし、A社を存続させることにします。
そうするとB社は消滅します。
A社とB社とC社が「新設合併」をし、新しくD社を作ることにします。
するとA社・B社・C社はすべて消滅します。
会社が対等に合併をする場合でも、実際は吸収合併の方法を選択することの方が多いです。
新設合併をする場合は、事業について主務官庁の免許や許可を要する場合に、新設会社が改めてこれらを取り直さなければならないことが理由として挙げられます。
他にも、株式の上場手続きを改めてとらなければならないことも指摘されています。
3.吸収合併の手続き①「合併契約」
では、具体的にどのようにして合併は行われるのでしょうか?
吸収合併からみていきたいと思います。
まず最初に、吸収合併する双方の会社で合併契約を締結します。
(合併契約の締結)
会社法第748条
会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない。
(株式会社が存続する吸収合併契約)
会社法第794条
①会社が吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する会社(以下この編において「吸収合併存続会社」という。)が株式会社であるときは、次に掲げる事項を定めなければならない。
749条によると、以下のことを契約において定める必要があります。
1号・・・吸収合併において、存続する会社と消滅する会社の商号と住所
(つまり、どの会社とどの会社が合併し、どちらを存続させるのか決定する)
2号と3号・・・合併対価の内容と割当て方
4号と5号・・・消滅する会社が新株予約権を発行している場合はその処理方法の定め
6号で、合併の効力発生日
A社とB社(どちらも株式会社)の吸収合併で、例えば、存続会社をB社にすると決めます。すると、A社は吸収合併後に消滅します。(1号)
すると、A社の発行している株式はどうなるでしょうか?
A社は吸収合併後に消滅してしまうので、当然、A社が発行している株式は無効になってしまいます。
そこで、存続会社であるB社が新しく株式を発行し、A社の株主に配ります。
A社の株1株につき、B社の株を何株配るか?というのが「合併比率」の問題です。
旧商法では、このようにB社の株式をA社の株主に配布すると定められていたのですが、改正後の会社法においては、A社の株主に交付するものがB社の株式に限られなくなりました。
B社の社債や新株予約権、新株予約権付社債、金銭など他の財産でもよくなりました。
これらの内容を決定するのが749条の2号と3号です。
同じように、A社が新株予約権を発行していたとしたらどうなるでしょうか?
合併の効力が生じた日に、A社の新株予約権は無効になってしまいます。
そこで、B社がA社の新株予約権者に対価としてB社の新株予約権を交付するか、または金銭を交付することができます。
これらの内容を決定するのが749条の4号と5号です。
最後に、吸収合併の効力は、6号で決める「効力発生日」に生じます。
これらの内容を、吸収合併契約として、合併をする双方の会社で決定します。
吸収合併した日に消滅する会社の、株主や新株予約権者に、何をいくら支払うかという内容を決定するのが、吸収合併契約の内容だということがわかりました^^
なかなかややこしくて、ホント嫌になりそうですが、明日も頑張ってまとめていきたいと思います^^
では、また~!!