千葉県野田市 小4虐待死事件

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千葉県野田市 小4虐待死事件

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日時  2019年1月24日

被害者 栗原心愛さん(当時10)

 

2019年1月24日、当時小学校4年生だった栗原心愛さんが虐待の末、飢餓状態及び強度のストレス状態により死亡した。

父親へ傷害致死等で懲役16年、母親へは傷害幇助で懲役2年6か月(執行猶予)の判決が言い渡された。

 

起訴は全部で6件

2020年2月千葉地裁にて、父親の勇一郎被告に対する裁判員裁判が開かれた。

父親は心愛さんに対する虐待5件と、母親へのDV1件で起訴された。

 

心愛さんの両親は、心愛さんが生まれた後ほどなくして別居する。

心愛さんは母親に引き取られ、その後両親は離婚。

しかし離婚後数年経った頃、父親からの連絡で再会し再び親子3人で暮らすようになり、両親は再婚した。

 

次女が生まれ、2017年の9月頃から千葉県野田市内のアパートにおいて、家族4人で暮らすようになる。

千葉市内に移り住んだ頃から、父親から心愛さんに対する虐待が始まる。

 

小学校のアンケートに父親からの暴力を訴える

2017年11月上旬に、心愛さんは当時通っていた小学校のいじめアンケートに「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか。」と回答した。

 

当時の担任がアンケートの聞き取りを行うと、心愛さんは母親の不在中に父親から「頭を拳で10回くらい殴られた」「昨日も殴られた、首を蹴られた」「今も痛い」「自分の体は大丈夫かなと思った」と話したという。

 

(この時期の暴行について、裁判では父親は「暴行を加えたことは一切ない」と否認。)

 

心愛さんは、11月8日から翌月の下旬まで千葉県柏児童相談所に一時保護された。

医学診断ではPTSDの疑いがある旨の診断がされている。

 

一時保護は、父方の祖父母宅で心愛さんを預かることを条件に12月27日に解除された。

 

児相での生活、祖父母宅での生活を経て再び自宅に戻る

父親は、心愛さんが通っていた小学校を管轄する野田市教育委員会に「児相に通報したのはなぜか、回答せよ」などと問いただす文書を送付しており、圧力に屈した野田市教育委員会が心愛さんが小学校で答えたアンケートの写しを父親に渡している。

 

心愛さんは、2018年の4月頃から再び両親のいる自宅で暮らすこととなる。

7月頃から父親は、心愛さんに対し深夜などの時間も含め「長時間にわたり立ち続けさせる」「長時間にわたり屈伸させる」「体にあざが残るような暴力をふるう」といった虐待を行うようになる。

 

父親が撮影した写真には口元が腫れ、手や服に血が付着した心愛さんの姿があり、「ママ助けて」などと繰り返し声を上げる動画も残っていた。

また心愛さんに浴室で排便をさせ、素手で排泄物を持たせた様子も撮影している。

 

エスカレートする虐待

2018年9月、心愛さんが父親と一緒に暮らしたくないと訴えたことから、再び祖父母宅に預けられることとなった。

しかし、祖父母の都合により12月25日から再び自宅へ戻される。

 

裁判によれば、心愛さんは父親から凄惨な虐待をうけ、全治1か月の肋骨骨折をしている。

また、父親は心愛さんの両手首をつかみ、体を引っ張り上げたあと両手首を離し、正面から床に打ち付けさせるような暴行を加えている。

心愛さんは顔からうつぶせになった状態で倒れてぐったりしていたという。

 

このとき心愛さんを庇った母親に対しても、父親は馬乗りになったり、殴る蹴るの暴行を加えている。

父親は、裁判でこれらの虐待等についても否認している。 

 

虐待の末に心愛さんが死亡する

2019年1月22日から24日にかけて、心愛さんは丸2日食事を与えられなかった。

昼夜を問わず長時間立たせ続け、睡眠もとらせてもらえなかった。

真冬にもかかわらず、暖房のない浴室に下着のみの状態で放置された。

 

2019年1月24日午後9時50分ごろ、父親は浴室に心愛さんを連れ込み、シャワーで顔面に冷水を浴びせ続けるなどの暴行を行い、心愛さんは死亡した。

 

一時的な飢餓状態に加え、強度のストレスをかけ続けられ、心愛さんの血液は酸性になっていたという。

さらに冷水を浴びせ続けられたことにより、肺には水が溜まっていた。

 

父親に懲役16年の実刑判決

2020年2月21日、千葉地裁で父親の初公判が行われ、検察官が証拠説明を行った。

被告が保管していた文書や、パソコン、携帯電話の中身についても説明。

検察は2017年の11月4日撮影し被告の携帯に保存されていた動画を「(心愛さんが)置かれていた状況を見てほしいと思う」と再生した。

 

心愛さんが脱衣所で大泣きしている様子が映し出されている52秒の動画のうち5秒間が再生されたが、心愛さんの「アーッ」という甲高い声が法廷に響き、裁判員の女性が泣き出したという。

裁判長の配慮で一時休廷となり、千葉地裁は補充裁判員に交代させる措置をとった。 

 

2020年3月19日に判決公判が行われ、前田巌裁判長は「尋常では考えられないほど陰湿で凄惨な虐待だ」として懲役16年の判決を言い渡した。

「先例を超えて極めて悪質性が高い」と非難し、「死者一人の傷害致死罪全体の最も重い部類と位置づけられるべき」とした。

 

被告側は傷害致死罪の成立を認める一方で、心愛さんが死亡するに至るまでの暴行の多くを否定していたが、判決は起訴された6つの罪をすべて認定する形となった。

 

控訴をすべて棄却

父親である勇一郎被告は「同種事案に比べ懲役16年は著しく重い」「妻の証言は信用性に乏しい」などとして控訴。

 

2021年3月4日、東京高等裁判所の近藤宏子裁判長は「原審の判断に誤りはない」としていずれも棄却した。

「心愛さんの人権と尊厳を全否定する虐待のすさまじさは明らかである」「異常なまでに陰惨でむごたらしい。悪質性は並外れて際立っている」と指摘した。

 

検察・弁護側の双方が上告せず、判決が確定した。