ブログ 七転び八起き

司法書士試験合格までの9年間を綴ったブログです。

八回目で念願の司法書士試験合格

【憲法】憲法総論、人権総論

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憲法総論

①日本国憲法の三大原則

基本的人権の尊重、国民主権、平和主義

 

②憲法前文の法的性質

前文とは、法律の最初に付され、その法律の目的や精神などを述べる文章のこと。

 

A 法規範性・・・あり(変更するには憲法改正手続が必要)

B 裁判規範性・・・争いあり

※ただし前文が本文の解釈基準となることには争いはない

 

③国民主権

A 主権の意味

①国家権力そのもの

②国家権力としての最高独立性

③国政についての最高決定権

 

B 国民主権の意義

①権力的契機(有権者・直接民主制)

②正当性の契機(全国民・間接民主制)

 

④天皇

A象徴天皇制(1条)・・・日本国の象徴、日本国民統合の象徴。主権の存する日本国民の総意に基づく。

B皇位継承(2条)・・・世襲制。具体的内容は皇室典範(法律)が定める。

C天皇の権能(4条)・・・国事行為に限定。内閣の助言と承認が必要。内閣が責任を負う。

国事行為とは実質的決定権を含まない形式的・儀礼的な行為のこと。

D国事行為の内容(4条2項、6条、7条)

E国事行為の代行・・・国事行為の委任(4条2項)、摂政(5条)

F公的行為・・・国事行為でもなく、私的行為にも当てはまらない「おことば」の合憲性は?

G皇室財産の授受の制限(8条)

H皇室財産の帰属(88条)・・・国に属する。予算に計上し、国会の議決が必要。

 

⑤戦争の放棄

A憲法9条2項の「戦力」の意味は?

B在留米軍は「戦力」か・・・判例(砂川事件)

C自衛権・・・肯定される(砂川事件)

 

 

人権総論

①人権の分類

自由権、社会権、参政権、国務請求権(受益権)に分類。

 

自由権(国家からの自由)・・・精神的自由・経済的自由・人身の自由

社会権(国家による自由)・・・生存権・教育を受ける権利・勤労の権利・労働基本権

参政権(国家への自由)・・・選挙権

国務請求権(国家に求める自由)・・・請願権・国家賠償請求権・裁判を受ける権利・刑事補償請求権

 

②人権の享有主体性

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。

A国民の要件(10条)

B外国人・・・争いあり。判例は性質説により肯定。(マクリーン事件)

【理由】

①憲法が国際協調主義を採用している。

②人権は人間であることにより当然に有するとされる性格(前国家的・前憲法的性格)を有するから。

・入国・在留の自由→保障されない(マクリーン事件)

・再入国の自由→保障されない(森川キャサリーン事件)

・出国の自由→保障される(最判昭32.12.25)

・政治活動の自由→保障される。しかし、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない。 (マクリーン事件)

・プライバシー権→保障される。在留外国人の指紋押なつ制度は合憲。(外国人指紋押なつ拒否事件)

・選挙権→保障されない。地方選挙権を付与することは許容される。

・社会権→原則的に保障されない。立法府の裁量の範囲。(塩見訴訟)

・公務就任権→権力的公務は× 非権力的公務は認められる。

 

C法人

憲法第3章に定める国民の権利・義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用される。(八幡製鉄政治献金事件)

保障されないもの・・・参政権・生存権・生命や身体に関する自由

・政治活動の自由(八幡製鉄政治献金事件・南九州税理士会事件)

・その他(群馬司法書士会事件)

 

D天皇

判例では、天皇も憲法第3章にいう国民に含まれ、憲法の保障する基本的人権の享有主体であり、その地位の世襲制、象徴としての地位、職務からくる最小限の特別扱いのみ認められる。天皇にもプライバシー権や肖像権の保障が及ぶ。

 

 

③基本的人権の限界

A公共の福祉による制限

公共の福祉が人権の制約根拠となり得るか?

第12条(自由・権利の保持義務、濫用の禁止、利用の責任)

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

第13条(個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重)

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第22条

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 

第29条

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

→一元的外在制約説、内在・外在二元的制約説・一元的内在制約説で争いあり。

 

①一元的外在制約説

「公共の福祉」・・・人権の外にあって、それを制約できる一般原理

人権のすべては12条・13条により政策的に制約することができる。

22条1項、29条2項の「公共の福祉」は注意的規定で特別の意味を持たない。

②外在・内在二元的制約説

「公共の福祉」・・・外在的制約(国家の政策的・積極的規制)

「公共の福祉」により制約できるのは、22条1項と29条2項、社会権(25条~28条)であり、それ以外の人権は内在的制約に服する。

12条・13条の「公共の福祉」は訓示的・倫理的規定で意味はない。

③一元的内在制約説(通説)

「公共の福祉」・・・人権の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理

12条・13条を根拠にし、22条1項・20条2項の「公共の福祉」は注意的な規定である。

 

 

B特別な法律関係における人権の限界(公務員・在監者)

・国家公務員の政治活動の自由(猿払事件・堀越事件)

・公務員等の労働基本権(全農林警職法事件)

・在監者の喫煙の自由(未決拘禁者喫煙禁止事件)

・在監者の知る権利(「よど号」ハイジャック記事抹消事件)

 

C私人間による人権保障の限界

憲法の規定のうち、明文で性質上、私人間に直接適用されることを予定しているものは15条4項後段のみ。

憲法15条

4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

18条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)、27条3項(児童酷使の禁止)、28条(勤労者の団結権・団体交渉権・団体行動権)も直接適用されると解されている。

 

上記以外の人権規定は私人間で適用されるか?

→無効力説と適用説で争いあり。通説・判例は適用説。

→ 適用説をとる場合、どのような形で人権規定を適用するか?

直接適用説、間接適用説、無効力説で争いあり。通説は間接適用説。

(三菱樹脂事件・昭和女子大事件・日産自動車事件)