ブログ 七転び八起き

司法書士試験合格までの9年間を綴ったブログです。

八回目で念願の司法書士試験合格

【民法親族法】認知の種類と準正について詳しく

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今日は認知の種類について勉強したいと思います。

 

認知とは、「婚姻をしていない男女」から生まれた子(非嫡出子)と、その父親に法的な親子関係を成立させるために行うものです。

 

 

 

1.任意認知

任意認知とは、父が自主的に行う認知を言います。

 

スマートフォンのゲームをしている親子のイラスト

 

認知する父が、未成年や、成年被後見人である場合でも、法定代理人の同意は必要ありません。(780条)

 

任意認知は、父親が一方的に行うことができ、認知される者の承諾は必要ありません。

ただし、以下の場合には例外的に、承諾が必要になります。

 

 

①成年の子を認知する場合

民法第782条

成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。

 

未成年の間は、養育費を払わず放置し、成年になってから扶養されることを目的に認知するという身勝手なことはできません。

 

 

 

②胎児を認知する場合

民法第783条

①父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。

 

認知をすることで、子の父が明らかとなり母の名誉を害する可能性があるからです。

 

 

③死亡した子を認知する場合

民法第783条

②父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。

 

死亡した子を認知するのは、単なる財産目当ての認知であり許されないことだからです。

 

 

①任意認知の方法

任意認知はどのようにして行うのでしょうか?

方法は以下の2パターンです。

 

①戸籍法の定める届出によって行う

②遺言によって行う

 

条文を見てみます。

民法第781条

①認知は戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。

②認知は遺言によってする。

 

 

②認知の取消し

認知をした父親が、やっぱり辞めようということで、認知を取り消すことができるでしょうか?

答えは、取消しできません。

 

民法第785条

認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。

 

 

③認知した父親が、実の父親でない場合

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認知をした父親が、子の実の父親ではない場合はどうするのでしょうか?

 

認知が真実(生物学的親子関係)に反する場合、子・その他利害関係人は認知無効の訴えを提起することができます。

 

民法786条(認知に対する反対の事実の主張)

子その他利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。

 

 

④認知したとみなされる場合

上記の認知の方法以外に、判例では、父が妻以外の女に産ませた子を妻との間の嫡出子として虚偽の出生届を出した場合、この出生届は、認知としての効力を有するという判例があります。(最判昭53.2.24)

 

 

 

 

2.強制認知

 

強制認知とは、実の父親が、子供が産まれたのに結婚もしてくれないし、任意認知もしてくれない場合に、父の意思に関わらず、強制的に親子関係を認める制度です。

 

父親の意思次第で、父のいない子の福祉を害することは防がなければなりません。

 

認知の効果は、前回お話したように、出生後の養育費を払ってもらえる、もし父親が亡くなったときには相続人になることができる、というように金銭的な面が大きいです。

 

では、どのように強制認知をするのか見てみましょう。

 

民法第787条

子、その直径卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

 

 強制認知は、子供またはその法定代理人が提訴権者となります。

つまり、子供と親権者である母親が認知の訴えをすることができます。

 

認知されるべき子が死亡しているときは、その子の子や孫も訴えることができます。

 

しかし、父親が死亡している場合は、父の死亡したときから三年以内に認知の訴えをしなければなりません。この場合は検察官を被告として訴えを提起します。

 

 

 

3.認知の効力

①認知の効力が発生するのはいつ?

認知の効力の発生時期は、認知方法によって異なります。

任意認知で、届出をした場合は、それが受理された時です。

任意認知で、遺言でした場合は、遺言者が死亡した時です。

強制認知でした場合は、裁判の確定によって生じます。

 

 

 

②父親との親子関係は、いつから生じるの?

認知することによって、父親と子の間には、子の出生時にさかのぼって法律上の親子関係が生じます。

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生物学的に親子関係はあるものの、法律上の親子関係はなかったのですが、ようやくこれで親子関係が法的にも認められる訳ですね。

 

ただし、この親子関係は嫡出子ではなく、非嫡出子の関係です。

(父と母が婚姻していないから、非嫡出子です。)

 

 

 

③父親が認知したら、親権はどうなるの?

父が認知をしたら、親権まで父親にいってしまうのでしょうか?

答えは、父が認知をした後も、子の親権者は母親のままです。

ただし、父母の協議または家庭裁判所の審判によって、父を親権者にすることもできます。

 

 

条文をみてみます。

民法817条

④父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。

⑤第一項、第三項の又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。

 

 

 

④子の名字はどうなるの?

婚姻していない男女から生まれた子(非嫡出子)は、生まれたときは母親の姓を名乗っています。

ここで、父親が認知した場合はどうなるのでしょうか?

 

答えは、父が認知した後も、子の姓は変わりません。

 

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でも、父の姓を名乗りたい場合、家庭裁判所の許可を得て、届出をすれば名乗ることができます。

 

 

 

 

 

4.準正

 

準正とは、父が認知することと、父母が婚姻することを条件に、非嫡出子に嫡出子の身分を取得させる制度のことです。

 

例えば子供が生まれた後に、結婚も認知も拒んでいた父親が、心変わりをした場合、どうなるでしょうか?

 

子供は出生の時に、父母が婚姻していないので、身分は非嫡出子です。

父親が認知をすれば、父親の非嫡出子と認められます。

 

では、その後その父母が結婚したらどうでしょう?

その場合は、子は父母の婚姻の時から、嫡出子の身分を取得することができるのです。

 

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準正により、子は、父母の共同親権に服することになります。(先例昭23.5.6民甲322号)

 

 

 

今日は、認知について具体的に勉強しました!

お付き合いいただき、ありがとうございました~!!

 

では、また~!!