今日は民法を勉強する上で、理解していなければいけない概念について取り上げてみたいと思います。
1.自力救済の禁止
例えば、AさんとBさんが売買契約をしたのに、Aさんが代金を支払ってくれない場合には、Bさんはどうするでしょうか?
「お金を払ってくれ」と頼んでも払ってくれません。
では、暴力行為を働いて無理やり払ってもらうとどうなるでしょうか?
Bさんは、警察に逮捕されてしまいます。
これは、「自力救済の禁止」といって、いくら正当な権利があるといっても、力ずくでその権利を使うことはできません、という原則があるのです。
人違いだったり、Bさんの勘違いだったりする可能性があるし、これらの解決を個々に任せると、力の強い者が常に勝利することになります。
そうなると社会秩序が乱れますね。
では、Bさんはどうしたらよいでしょうか?
そうです。
裁判を提起することができるのです。
裁判を提起して、国家機関である裁判所にそのトラブルを解決してもらえばよいのです。
2.条文の解釈
では、このようにトラブルが生じて裁判になったとき、裁判所はどのようにして解決するのでしょうか?
裁判所は民法の条文をその事件に適用して解決します。
Bさんは、「私にはAさんから100万の支払代金を受け取る権利があるんです!!」と主張します。
このような、権利の主体になる人(Bさん)に、その権利(代金引渡債権)が存在するかどうかを裁判所は判断します。
民法では、「売買契約」をしたら「代金引渡債権」が発生するというように、権利義務について定められています。
こういうことをしたら、こういう権利が発生しますよ、ということを定めています。
しかし、民法は条文が抽象的な文言で書かれていて、さらに制定から120年以上が経過しています。
現代では、制定時に予定していない事実が発生することもあります。
なので、どのようにこの条文を解釈するか、ということを明確にして、その事実に関するルールを作らなければなりません。
では、条文の解釈方法を見てみましょう。
条文の解釈方法には、以下のものがあります。
①文理解釈
その条文に使われている言葉を、通常の用法や文法に従って解釈すること。
②反対解釈
類似した2つの事実のうち、1つだけ規定がある場合、規定がないほうの事実について
、その反対の解釈をすること。
例えば、「ダイエット中はポテトチップスを食べてはいけない」というきまりがあったとします。
ではダイエット中にシュークリームが食べたくなった場合どうしますか?
シュークリームに関するきまりはありません。困りました。
この場合、反対解釈すれば食べられます。
規定がないほうの事実(シュークリーム)について、反対(ダイエット中食べてよい)解釈します。
③類推解釈
類似した2つの事実のうち、1つだけ規定がある場合に、規定がない方の事実についても、それと同様の解釈をすること。
先ほどの例で類推解釈すると、「ダイエット中はポテトチップスを食べてはいけない」のだから、それと同じようにお菓子である「シュークリーム」も食べてはいけません。
④拡張解釈
ある条文で規定されている意味を広げて解釈すること。
⑤縮小解釈
ある条文で規定されている意味を一般的意味よりも狭く解釈すること。
3.条文中の善意・悪意とは?
善意と悪意という言葉が、条文上でよく出てきます。
善意というと、一般的に親切心を思うかべ、悪意というと黒い感情を思い浮かべますね。
けれど、法律でいう善意とは、「ある事実を知らないこと」を指します。
法律でいう悪意とは「ある事実を知っていること」を指します。
善意の第三者とは、その事実について知らない第三者のことを言います。
これ、なかなか慣れないと思います。わたしもすごい違和感ですw
善意者はさらに、過失なく知らなかった善意無過失と、注意すれば知ることができたのに知らなかった善意有過失に分けられます。
・・・以上で、民法を勉強する前に知っておいたほうがよい法律用語についてまとめてみました!
日本では、法律を知らないと困る場面が多々あります。
裁判所も、「国民は法律を知っている」を前提に判断するので、「知りませんでした」は通用しません。
社会で、何かトラブルが生じたとき、少しでも身を守る道具として法律を身につけていければいいなと思います。
すぐ忘れてしまうので困りますが、頑張ります!w
お付き合いいただき、ありがとうございました!
では、また~!!