1.六法とは?
六法の意味も色々あります。
一般的に、「六法を買おう」というときは③の意味です。
①6つの重要な法典という意味の六法
(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)
②①に加えて、関連する法典・付属法規も含む
③法律を収録した法令集のこと
法律が改正されるので、毎年、新しいものに買い替えします。
2.法の分類
①公法とは
国家の仕組み、国家と個人の関係を定める分野の法律のことです。
憲法分野・・・憲法
行政法分野・・・国会法・公職選挙法・裁判所法・内閣法・国家公務員法・地方自治法・行政手続法など
刑法分野・・・刑法・軽犯罪法・暴力団対策法など
訴訟法分野・・・刑事訴訟法・民事訴訟法・破産法・民事再生法
②私法とは
個人間の関係を定める分野の法律です。
民法分野・・・民法・不動産登記法・借地借家法・区分所有法など
商法分野・・・商法・会社法・商業登記法・証券取引法・手形法・小切手法など
③社会法とは
個人間の関係を国が調整する法律です。
労働組合法・労働基準法・男女雇用機会均等法・生活保護法・消費者契約法など
3.法律の上下関係
法には、制定する機関や、制定手続の違いにより、憲法・法律・政令・条例・省令という異なった形式が存在します。
憲法・・・国会が制定する
政令・・・内閣が制定する
条例・・・地方自治体が制定する
省令・・・行政機関である各省が制定する
上下関係はそのまま、憲法>法律>政令・条例>省令の順序です。
法には以上のように、上下の序列があり、その中で最上位にあるのが「日本国憲法」なのです。
4.一般法と特別法
一般法とは、人・地域・事項などについて具体的に限定しないで、一般的に定めた法律のことです。
特別法とは、特定の人・地域・事項などについてだけ限定的に適用される法律です。
たとえば、少年についての少年法が特別法にあたります。
特別法は一般法に優先して適用され、特別法の規定がない場合には一般法が補充的に適用されます。
たとえば、少年法に定められていないことについては、少年に対しても刑事訴訟法が適用されるというような感じです。
5.新法と旧法
法令が改正され、旧法が新法に抵触する場合、一般的には旧法は廃止・削除されます。
しかし、旧法が明文で廃止されないとき、新法施行後の自体に対しては、「新法は旧法を改廃する」というルールが採用されます。
また、新法は、新法施行前の法律関係に影響を及ぼさないのが原則(法律不遡及の原則)です。
6.法令の読み方
法令の条文は、内容に応じて本則と附則に区分されます。
本則・・・本体的・実質的規定
附則・・・本則の諸規則に伴い必要とされる付随的・経過的規定
例えば、会社法の条文を読んでみます。
第二五条①株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ)の全部を引き受ける方法
二 次節、第三節、第三九条及び六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
②各発起人は、株式の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
法令の基本的な構成単位は「条」です。
これでいうと、二五条です。
①②が、「項」です。
二五条の一項となります。
二五条の一項の「一」「二」は「号」です。
ほかに、「条文見出し」というのがあります。
次の条文をみてみます。
(定款の作成)
第二六条①株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、または記名押印しなければならない。
②前項の定款は・・・・(省略します)
この(定款の作成)というのが条文見出しです。
条文を簡潔に要約したものです。
7.法令で使われる言葉「みなす」「推定する」「準用する」「適用する」の意味は?
「みなす」の意味は、法令上「・・・の適用については、AをBとみなす」という形で、本体性質の違うものを、一定の法律関係においては同様に取り扱う場合に用いられます。
「推定する」とは、法律上の取り扱いについて事実を一応決めるだけで、事実が異なる場合、これを否定する明確な証拠を提示すれば、その推定事実をひっくり返すことができるものです。
「準用する」は、ある規定を、本来その規定が対象とする事項を類似してはいるが、異なる事項について、修正を加えたうえで当てはめる場合に用いられます。
「適用する」は、ある法令の規定を、特定の時期や特定の人・事項・地域などに実際にあてはめるときに用います。
以上、六法を読む際の体系と基本的な事柄を勉強してみました!